ブランドの成長においてECモール、特にAmazonの攻略は必須事項です。Amazonの重要性については様々な広告代理店がブログやnoteで説いております。著者も担当しているブランドの成長率を見ているとAmazonスポンサー広告をはじめAmazon攻略の重要性、ブランド成長に及ぼす影響は計り知れないものです。反面、競合ブランドに遅れをとってしまうとAmazon内の売上はもちろん、ブランド全体の売上に差が出てしまう可能性もあるのでは?と感じており、よりAmazonへの注力の重要性が高まっていると感じております。Amazonに対して競合がどれほど注力しているのか?を把握することが一つの物差しになると思いますので、本日は競合ブランドのAmazon注力具合の調査方法をいくつかご紹介します。
Amazonは中小規模のブランドがカテゴリートップブランドを超えるといったことが実現できるプラットフォームなので、ぜひ競合調査をしてみて自社ブランドでAmazon強化を検討してみてください。
目次:Amazonスポンサー広告を実施している?競合ブランドのAmazon注力具合を調査してみる。
調査2.目視でスポンサー広告実施状況をチェック
調査3.ストアを作っているかチェック
調査4. ツールで売上規模との推移をチェック
調査1.商品詳細ページ(DP)の作り方をチェック
Amazonの施策を始めるにあたって、なにから始めたらいいのか?の質問にはどの代理店や経験者もおそらく商品詳細ページ(DP)をしっかり作るところから始めると言うでしょう。理由は以下二点となります。
理由①:無料でできるから。
理由②:Amazon施策のすべての肝はGV(=DPへの訪問数)を集め、注文率を高めることだから
まずDPの役割から考えましょう。ユーザーがAmazonで買い物をする購買導線上、かなりの確率でDPを通ります。というより、DPで購入します。例外はストアで購入するときぐらいでしょうか。Amazonでのユーザーの購買行動は「検索する」→「表示された商品に興味を持ちクリックする」→「DPに訪問する」→「DPで商品についての情報を確認」→「カートに入れる」→「購入」という流れが多いです。その中でDPの役割は、商品についてユーザーへアピールし、購入手前のカートに入れるところまでを担っています。つまり、DPの作り次第で購入するかどうか決まる、非常に重要なポイントとなります。
もしスポンサー広告を実施して、GV(=DPへの訪問数)を増やしたところでDPでユーザーへ購買意欲を持たせられなければ離脱してしまい、せっかくの広告施策の効果が半減以下になってしまいます。
また、GVを増やしCVRを上げることでAmazon売れ筋ランキングにも大きく影響が出ます。
話を戻しましょう。
理由①の通り、DPの作りこみは無料でできます。広告施策のように費用がかからないため始めやすいでしょう。また、スポンサー広告を実施しない場合、オーガニックからの流入に頼ることになると思いますが、少しでも注文の可能性を高めるため、実施していないブランドはすぐに実施するべきでしょう。
理由②についてですが、Amazon施策はすべてGVを中心に回ってます。GVが集まる→注文数が増える→Amazonが売れる商品と判断する→オーガニックの掲載位置が上がる→よりGVが集まる・・・と売れるサイクルに乗るようになってきます。この「GVが集まる」という点はスポンサー広告でドライブをかけるのが定石ですが、GVを集め注文数が増える(=CVRを高める)ことでより売れるサイクルに入っていきます。これがAmazonのフライホイール効果で、Amazonで売れるための方程式のようなものです。
では、DPでどのような箇所をチェックしたらいいのでしょうか?
❶の箇所は画像が7枚入れられます。さらに動画を入れることも可能であり、この個所をしっかりと埋めているかどうかは最初のポイントとなります。一見当たり前のようですがこのように素材を保有し、しっかりとDPへ情報を拡充することについて怠っているもしくは手が回っていないブランドやセラーも意外と存在します。
次に❷ですが、これはバリエーションと言って複数の商品を束ねたDPを作成する手法となります。以下がメリットとデメリットとなります。
【メリット】
・バリエーションの数値が(おそらく)合算で集計されDPの評価となるため、売れ筋ランキングの上位になりやすい。
・合算での集計により、オーガニックの掲載位置にも好影響が出ると考えられる。
【デメリット】
・スポンサー広告を実施した際に、1ページ内でバリエーションのうちの1商品だけの表示になる。(=同ページ内で複数商品を掲載するような棚取りはできない)
・オーガニックでも同様で、1ページ内でバリエーションのうち1商品だけの表示になる。
バリエーションを組むか、それとも1商品1DPでいくのか?については、棚取りを優先するのか?数値を合算させてランキングやオーガニック位置を獲得しに行くのか?などの重要な判断が求められます。カテゴリートップ並みに明らかにブランドの認知率が高く、複数商品を展開している以外はバリエーションを組んだ形で始める方がいいでしょう。
その他は以下をチェック、および真似できるところは真似していきましょう。
・スクロールした中段以下にある「ブランドの紹介」「商品の説明」「メーカーによる説明」箇所の情報充実度
・画像ではなく、テキストで獲得したいKWを充分に盛り込んでいるか?
調査2.目視でスポンサー広告実施状況をチェック
Amazonに対しての注力具合については、Amazonスポンサー広告の出稿量でおおよそわかるといっても過言ではありません。先述のとおりDPを作りこんだのち、GVを上げるために広告でドライブをかけるという方法が成功のスタートです。ただ、競合の広告出稿の遷移はもちろん見れないため、推計する必要があります。そこでおすすめな方法が「目視でスポンサー広告実施状況をチェック」するといった方法です。著者が担当しているブランドはここ数年、大きく市場が成長した反面、参入障壁が高くなく新規ブランドが続々登場し、市場が激化しており競合の動きを敏感に把握する必要があります。そこで著者が実施したのが目視によるチェックです。目視とはいえ、目視状況の結果から導き出した競合の出稿状況をAmazon社に確認したところ、(具体的な情報は取得できませんが)かなり精度が高いとのことでした。
このスポンサーブランドとスポンサープロダクトが広告枠になっており、任意のKWを検索することでスポンサー広告を実施しているか否かがわかります。目視でチェックする際のポイントは以下です。
●検索するKW
・KWは自ブランドが属するカテゴリーの「ビッグワード」※上記の場合は「ビール」
・自ブランドで獲得したいKW※「ノンアルコールビール」や「クラフトビール」「ビール ギフト」「ビール 海外」など
・自ブランドのKWに競合が出ていないか?
●チェックする際の注意点
・必ずログアウトした状態で行う。(ログイン情報に基づき掲載状況が最適化されている可能性あり)
・シークレットウィンドで行う。
これを理想は1日3回ほど、難しければ1日1回を目安に行ってみると、「何時くらいに予算が切れている」「今は競合の出稿が多い」などの情報が集まってきて、精度高い競合の出稿量調査となりますのでおすすめです。
調査3.ストアを作っているかチェック
Amazonにはブランドストア(通称ストア)というブランド専用のページを作成することができます。このストアはカート機能を設定することもできるため購入促進にもつながります。
●ストアとはどんなもの?
これは見てもらった方がいいでしょう。
通常のDPとは異なり、複数の商品や自社内ブランドを整理して表示でき、より深くかつ多くブランドの商品や情報を伝えることができるページとなります。こちらはスポンサー広告のアカウントがあれば無料で作成することができます。また、複数のフォーマットから選ぶことができます。
●ストアへの導線は?
ストアへの導線は大きく以下の通りとなります。
・スポンサーブランドの画像をクリック
・AmazonDSPのLPとして設定
・DPからの遷移
DPからの遷移というはわかりにくいと思いますが、以下箇所をクリックするとストアへ遷移できます。ちなみに、ストアを作成していない場合、ここをクリックすると検索画面へ遷移します。
ストアは広告をクリックもしくは、DPからブランドに興味があるユーザーとなるため「もっとブランドの商品を知りたい」「購入意欲がある」ユーザーがたどり着くページになります。セール時には自社商品のみが並び、セール対象商品には「セール」のバッジがつくためCVRの向上およびアップセルが見込める重要な施策の一つとなります。
実はこのストアを使うと、Amazon外広告のCVや売上を計測できるということもできますが、それはまた追ってご説明します。
調査4. ツールで売上規模との推移をチェック
もっと定量的に調査をしたい!という方には、分析ツールの利用をお勧めします。著者が使用しているのはセラースプライトというツールで、以下のような点が見れます。
・競合のブランドの売上
・カテゴリーの売上規模とブランドごとの順位
・スポンサー広告の実施有無
・任意の検索KWの検索数
・購入しているKW
・任意の商品のレビューをまとめてダウンロード
・DPのランクと改善点(Chromeの拡張機能)
他にも複数の機能がありますが、おおよそ上記が興味深いところでしょう。ただし注意点があります。まず無料版では機能がかなり限定されており、有料版が前提な点。次にデータ自体は精度が決して高いというわけではないためあくまで傾向としてとらえることが求められる点となります。ただ、新たな発見もありますので、しっかりとAmazon対策、競合の調査を行いたい方にはお勧めのツールとなります。
いかがだったでしょうか?今回はAmazon内の競合調査について述べてみました。特に調査2についてはどれだけ広告費をかけているのか?が透けて見えてくるため、ぜひ試してもらえればと思います。