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Amazonスポンサー広告のパートナーを選ぶ際のたった一つの注意点。

更新日:2023年10月30日



 

Amazon内の検索連動型広告であるAmazonスポンサー広告は、プラットフォームの特性上非常に高いパフォーマンスが出せる打ち手です。Amazonで検索するユーザーは限りなく購買行動を起こしやすい状態で、検索されるキーワードはBUY検索ということから、Amazonスポンサー広告はきっと貴社ブランドの売上向上へつながることでしょう。ただし、本気でAmazonに向き合う場合、しっかりとした経験と知識を保有していない限り、継続的な売上成長は困難です。


そこで考えるのが、経験と知識を保有しているパートナーの採用検討です。Amazon広告が一般化し始めている現在、大手総合代理店からネット専業代理店まで専門チームを編成し始めており、Amazon専業のコンサルや広告代理店まで存在するようになりました。(例に漏れず弊社もそのうちの一社)


会社ごとに特徴や強みが異なり、各社が切磋琢磨してスキルを上げていく努力や情報を公開している点はブランド担当者から見たら非常にプラスな状況でしょう。一方、選択肢が増えたためどこにお願いするのがいいのか?という点で頭を悩ませるご担当者様も多いかと思います。


そこで今回は、著者が思う「パートナー選定に対して気を付けるべき点」について述べていこうと思います。※あくまで著者の偏見です。



目次:Amazonスポンサー広告のパートナーを選ぶ際のたった一つの注意点。


 

1.たった一つの注意点!

結論から言います。Amazon広告のパートナーを選ぶ際には、「ROAS〇〇%改善!!」などROAS主語、ROAS最重視している企業には気を付けてください。ROASとはReturn On Advertisingの略語で、広告の費用対効果という意味です。ROASの計算式は以下の通りです。


売上÷広告費×100(%)


たとえば、100万円の広告費で300万円の売上を作った場合、300万円÷100万円×100(%)なのでROASは300%となります。改善活動が進み、3か月後に100万円の広告費で400万円の売上を作った場合は、400万円÷100万円×100(%)なのでROASは400%となります。ROASは高い数値のほうが好ましい指標ということになります。


広告の効率が上がることは通常、喜ぶべき事象です。では著者はなぜROAS主語、ROAS最重視している企業に注意が必要と述べたのか、それはROASに計算される売上は広告経由の売上のみだからです。Amazonには広告経由とオーガニック経由の売上があります。ROASは広告経由の売上のみを対象に計算されており、オーガニック経由の売上が無視されているのです。

 

2.そう考える理由。

まずは、ROASの構成要素(=変動する要素)を考えてみましょう。Amazon広告でインプレッションがしっかり出ている前提で考えると、ROASの構成要素はCPC&CVR&注文単価になります。この3点のどこかの数字が改善することでROASは改善します。


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❶CPCが改善するケース

・(スポンサーブランドの場合)CTRの高いクリエイティブを制作

・高いCPCのKWの入札単価を抑える(=配信を抑制する)

・CTRが高いためCPCが安いブランドKWへ予算をアロケする


❷CVRが改善するケース

・商品詳細ページを改善する

・CVRが高いブランド以外のKWに広告予算を割く

・CVRが高いブランドKWに広告予算を割く


❸注文単価

・単価の高い商品の配信を強化する

・セット商品を作る

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それぞれの打ち手はざっくり上記が考えられます。その中で赤字箇所はROASは改善するが、Amazon全体の売上向上には悪影響になりかねない打ち手と考えてます。


まず、「ブランドKWへの広告予算充当」について考えます。ブランドKWはその名の通り、自分たちのブランドを検索したしてくれたユーザーに対しての配信となります。AmazonはECモールのため、検索するユーザーは購買行動を起こす可能性が高いです。さらにブランドKWを検索しているということは、限りなく購買行動の可能性が高い状態となります。


先述したとおり、Amazonには「広告経由」「オーガニック経由」の売上が存在します。「広告経由」はその名の通り配信している広告をクリックして購買行動を起こした売上です。Amazonスポンサー広告はクリック課金のため、費用をかけて獲得した売上です。


一方、「オーガニック経由」は広告での掲載ではない枠をクリックして購入した売上です。これは広告をクリックしていないので無料で獲得した売上となります。必要以上にブランドKWへ投資を強めるということは、広告とオーガニックの重複が増加するという状態になります。


要するに、オーガニックでも購入するであろうユーザーに、わざわざ高い広告費をかけて売上をとることになるということです。ただ、ブランドKWはCTRも高く、CVRも高いためROASは高くなります。ROASは高くなるが、広告とオーガニックの重複が発生するため全体の売上は下がるというずれが発生するのです。


もちろん、競合への流出を防ぐという点でもブランドKWへの出稿は必要ですが、「ROAS改善」の名目のため広告予算の充当を増額することを提案、実行するパートナーは危険でしょう。


次に「高い入札単価のKWの入札単価を抑える(=配信を抑制する)」という点です。これは一概に間違っているとは言えません。ただ、高い入札単価のKWは大体、人気のあるKWです。この人気のあるKWというのは検索量が多いか、CVRが高いかどちらかのKWでしょう。端的に言うとビッグワードというわけです。


ビッグワードへの投資は資金力が必要です。予算が限られている場合は配信量を担保するために、ビッグワードを避けるという考えは正しいでしょう。ただし、これは「ビッグワードはCPCが高騰しROASが悪くなるから避ける」という考え方とは違います。


この考えの場合、予算が増加したとしても可能な限り配信を避ける、もしくは入札を下げて配信量を弱めて、ROASを合わせに行く運用になるでしょう。これが間違いです。もし予算を集められたらCPCが高くROASが他のKWより悪くなっても入札強化し、配信を強める価値があると著者は考えてます。


なぜなら、「Amazonは商品詳細ページへ来たユーザーが増えるほどオーガニックの掲載位置が優遇される」仕様になっており、それはKWごとに判別されるからです。つまり、ビッグワードから商品詳細ページへの誘導を増やせば、オーガニックでの掲載位置も上位に改善され、検索量が多いビッグワードの棚取りにつながる可能性が高いということです。


ビッグワードをはじめ、人気のKWへの投資は予算次第ということになりますが、「ROASが悪くなるから避ける」という考えは絶対に避けるべきです。


著者の担当しているブランドでもROASとオーガニックも含めた全体の売上は必ずしも比例しないという結果が出てます。



※縦軸がROAS、横軸がオーガニックも含めた全体売上、バブルの大きさが広告費。



もちろん「ROAS〇〇%改善!!」というのはわかりやすい指標なので、キャッチとして使用しているだけの場合も考えられます。話を聞いてみて、ROASだけでなくしっかりとAmazon全体の売上やブランドの成長、コミュニケーションプランとの連動に視点が定まっていれば問題ないと思います。ただし、話を聞いてみても、終始主語をROASで語ってくる場合はパートナーとして採用するのはやめた方がいいでしょう。


弊社以外でも「ただROASが高ければいいという考えは危険」「オーガニックも含めた売上が主語」という視点を持っている企業もあります。そのような企業はオーガニックの売上にも視点が定まっており、Amazon内の施策を支援するという点で信頼できるパートナーになるでしょう。

 

いかがだったでしょうか?今回のエントリーが貴社ブランドのパートナー選定に役立つことを祈っております。



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