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【ブランドマネージャー向け】広告代理店からのAmazon広告の提案にマーケティング視点はあるか?




 

Amazonの売上向上がブランド成長に欠かせない現状があるなかで、支援する企業が増え、情報を公開していることで様々な情報が取得できるようになりました。それに伴い、スポンサー広告の始め方や商品詳細ページの重要性は、これからAmazon内施策を始めるブランドの担当者のハードルを大きく下げるきっかけとなっていると思います。一方、著者が問題と感じているのは、「どの情報もマーケティング視点がなく、Amazonの施策といった視点」になっているという点です。要は、「Amazonではこうやるべき」という打ち手視点の話に終始していて、ブランドマネージャーが重視する「ブランド全体のマーケティングの視点」が抜けているのです。


本日はマーケティング視点とAmazon広告をキーワードにお話ししていきたいと思います。



目次:【ブランドマネージャー向け】広告代理店からのAmazon広告の提案にマーケティングの視点はあるか?


 

1.なぜ広告代理店からのAmazon広告の提案にマーケティング視点がないのか?


「Amazonではこうやるべき」といういわゆる打ち手のタスクリストは必要です。複数の企業に対し、Amazon支援を行ってきたことで培った打ち手の数々は確かにあなたのブランドにも有益になるはずです。ただ、はじめに考えるべきことは自分たちが属するカテゴリーのマーケットはAmazonで成長しているか?規模としては大きいのか?という点です。ここを見誤ると一時的な成長はあっても、ブランド成長につながるAmazon内の継続的成長にはつながりません。


なぜ多くの代理店がAmazon施策を提案する際、「マーケティングの視点がなく、Amazon施策といった視点」での提案になってしまうのでしょうか?それはおそらく大手総合代理店、さらにその一部である大手ブランドのAEとしてAmazon支援を担当してきた経験者が極端に少ないからという点につきます。


大手ブランドのAEはブランドコミュニケーションの提案、協議、判断から制作物のディレクション、広告のプランニングや支援など「横」だけではなく、上流から下流の「縦」についてもすべて担当します。端的に言うと「すべての経済活動を支援する」立場になるため、高い視座と膨大な視点からの判断や提案、報告が求められます。このような経験がないことからマーケットを見るといった視座自体がないということになります。





※著者が担当していたAEチームの業務範囲。


広告だけでも総合広告代理店はすべてを担当します。さらにAEブランドを担当しているチームでは広告以外のブランドコミュニケーション策定などにもかかわっており、高度なブランド理解とマーケティング知識が求められます。WEB周りの広告だとネット専業広告代理店を選択されるケースが多くなってますが、実は大手総合広告代理店のAEチームは希少価値の高いマーケティング知識を保有している稀有なチームなのです。



あくまで広告はブランドのマーケティング活動の一部であり、Amazonはさらにその一部であることを忘れてはいけません。ブランドのコミュニケーション自体の理解がないと、「伝えるべきメッセージ」×「伝えるべき相手」×「知ってもらう活動」×「買ってもらう活動」が連動せず、大きなインパクトは生み出せません。さらにすべてが統一していないということは、マーケティング全体のPDCAが回せないということになります。

 

2.なぜAmazon広告の運用にマーケティング視点が必要なのか?

ブランドのマーケティング活動の中で、Amazonは最後に近い「購入」の役割を担っています。「購入」の役割ということは、マーケティング活動の出口に限りなく近く、集大成といっても過言ではありません。


先述の通り、マーケティング活動というのは広告だけではないため、広告とりわけ特定のプラットフォームだけに限定した話で解決するものではありません。かなり簡素に考えても以下の項目があります。


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❶ブランドが存在→❷マーケットの状況を把握→❸ターゲットを設定→❹マーケットとターゲットに沿って、ブランド体系を整理→❺アプローチの表現を決める→❻表現を具現化した制作物を作る→❼役割に応じた媒体やメニューを選定する→❽ブランドを知ってもらう認知拡大の広告を行う→❾認知拡大を売上につなげるために、刈取りの広告を行う→➓購入したユーザーが拡散するような仕掛けを行う

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実際はもっと複雑ですが、簡易的に考えたとしてもAmazonの広告は❾の中の一つのプラットフォームでしかありません。Amazonでの施策がブランド成長に重要というのは、売上を上げる買い場での施策であり、あくまでマーケティング活動の集大成だからです。ですので、本来であればブランド成長においてAmazonだけ語るというのは本質的ではないということになります。


ターゲットについては、よく「大枠は決めて、Amazon内でフレーズ一致、部分一致、Auto機能で配信してクエリから拾ってくる」という提案をよく聞くと思います。Amazonだけを見た際は間違いないと思います。ただし、これはあくまでマーケットへの思考と理解が先にあったのち、全体のプランを意識したうえでAmazon内の運用精度を上げるための打ち手である、という認識が重要と著者は考えます。


この認識が抜けていると、ブランド全体のコミュニケーションや認知広告の表現と乖離が出てきてしまい、徐々にトータルのブランドコミュニケーションが捻じれて瓦解していく恐れがあります。Amazonを専門に生業にしている企業や、ネット広告代理店では経験がないことから持ちえない視点となるため、意外と気づきにくい点です。もしブランドマネージャーが代理店からの報告や提案に対し「なんか話がかみ合わない」と感じたとしたら、この点が大きな理由でしょう。

 

3.Amazon広告の運用にマーケティング視点が特に必要なブランドとは?

ではすべてのブランドにマーケティング視点が必要なのでしょうか?答えはNOと著者は考えます。もちろん、YES!と言いたいのですが、全体のマーケティング活動の連動性より買い場である刈取り施策の細かい打ち手の連続をスピーディーに行うほうがプラスになるケースがあります。著者としては、マーケティング視点が必要なブランド、不要(というより優先順位が低い)ブランドは以下と考えております。


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●特にマーケティング視点が必要なブランド

・カテゴリー上位の規模が大きいブランド

・中長期的な視点で成長が求められているブランド

・刈取りの広告だけでなく、認知をとる広告を実施している

・認知広告の投下費用が大きい。

・ブランドイメージを刷新するタイミングで、認知広告を実施する


●マーケティング視点の優先順位が低いブランド

・立ち上げたばかりのブランド。

・予算が限られているフェーズであり、まずは短期的な売上を上げるブランド

・刈取り広告のみを実施するブランド

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中長期的な成長が求められるカテゴリー上位のブランドは、求められる売上の規模も大きく、上流から下流すべてを統一したブランドのマーケティング活動を行う必要があります。そのため、先述の通り買い場であるAmazonでも、コミュニケーションプランとの連動性が必須です。Amazonをパートナーへ依頼する場合は、大手総合代理店でAmazon運用を行っているAEチーム、もしくは経験者を担当にしてもらう交渉をするべきと考えます。


一方、まずは短期的な売上を上げる必要がある、いわゆる「これから成長していくブランド」は予算規模も限られているため可能な限り売上に直結する買い場でのPDCAが求められます。その際は、Amazonに特化した知識を有している専門代理店やウェブ専業代理店のほうが相性がいい場合もあります。


自分のブランドが今どのフェーズであり、パートナーとして採用するにはどのような素養があった方がいいのか?マーケティングの視点が必要なのか?について、一つの採用基準として参考にしていただければと思います。

 

いかがだったでしょうか?今回はマーケティング視点とAmazon広告についてお話いたしました。今後も、今回のような少し違った切り口でのエントリーも増やしていければと考えております。




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